現代の日本では文字を書くという際、ボールペンをはじめとした「硬筆」が主に使われるようになっています。
しかしだからと言ってそれが完全に無くなったというわけではなく、書道などは人気の習い事の一つになっていますし、小学校などの授業でも習字が行われることとなっています。
そうした毛筆の書き味などを再現したのが筆ペンなのですが、それではこれは毛筆として呼ぶことができるのでしょうか。
これについては二通りの考え方があります。
まず第一に「筆記具としての違い」についてです。
毛筆はその名の通り、素材として馬やタヌキといったような動物の毛が使用されることが一般的です。
中には化学繊維で動物の毛を再現して使用しているものもありますが、それがどのようなものであっても、完成するものは細い糸や毛の集合体です。
ですが筆ペンはほとんどの場合そういった細い繊維が合わさってできているというものではありません。
穂先に近づくほど細くなるように作られた化学繊維を、筆の形状に成型しているものがほとんどなのです。
これは「より気軽に筆文字を再現できるようにする」という目的のために行われていることですが、この点についていえば筆ペンはあくまでも「筆を模したペン」ということになり、毛筆と呼ぶことは適当ではありません。
次の考え方が「社会的な扱い」についてです。
現代の社会で文字を書くという際には硬筆が主に使用されているということは先に挙げましたが、冠婚葬祭の際などには多くの場合、毛筆で文字を書くこととなっています。
筆文字を書くことが求められているのですから、本来であれば筆を利用して書くべきと言うことになるのですが、実際にはこうした場合、しっかりとした毛筆が使用されるということはあまりありません。
そうした場合に筆ペンを使用するということはよくあることであり、それがとがめられるということもほぼ無いでしょう。
こうした観点からみると「毛筆と同じものとして考えることができる」とも言えるのです。
このように考え方は様々ですから、実際に毛筆になるのかどうかということについては、それぞれのTPOに応じて考えるべきということになると言えます。

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